パワハラは、法律で、どのように規制されているの? 【企業向け】
目次
「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業⽣活の充実等に関する法律」にパワハラ防止の規定があります。
パワハラ防止法は、略して労働施策総合推進法、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業⽣活の充実等に関する法律」の一部を構成しています。
その規定を抜き出してみましょう
第八章 職場における優越的な関係を背景とした⾔動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
(雇用管理上の措置等)
第三十条の二 事業主は、職場において⾏われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇⽤する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために
必要な体制の整備その他の雇⽤管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を⾏つたこと⼜は事業主による当該相談への対応に協⼒した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
4 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会の意⾒を聴くものとする。
5 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
6 前二項の規定は、指針の変更について準⽤する。
(国、事業主及び労働者の責務)
第三十条の三 国は、労働者の就業環境を害する前条第⼀項に規定する言動を⾏つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主その他国⺠⼀般の関心と理解を深めるため、広報活
動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇⽤する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協⼒するように努めなけ
ればならない。
3 事業主(その者が法⼈である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
4 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第⼀項の措置に協⼒するように努めなければならない。
(紛争の解決の促進に関する特例)
第三十条の四 第三⼗条の二第⼀項及び第二項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成⼗三年法律第百⼗二号)第四条、第五条及び第⼗二条から第⼗九条までの規定は適⽤せず、次条から第三⼗条の八までに定めるところによる。
(紛争の解決の援助)
第三十条の五 都道府県労働局⻑は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方⼜は⼀方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導⼜は勧告をすることができる。
2 第三⼗条の二第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準⽤する。
(調停の委任)
第三十条の六 都道府県労働局⻑は、第三⼗条の四に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方⼜は⼀方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第⼀項の紛争調整委員会に調停を⾏わせるものとする。
2 第三⼗条の二第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準⽤する。
(調停)
第三十条の七 雇⽤の分野における男⼥の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四⼗七年法律第百⼗三号)第⼗九条から第二⼗六条までの規定は、前条第⼀項の調停の⼿続について準⽤する。この場合において、同法第⼗九条第⼀項中「前条第⼀項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇⽤の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四⼗⼀年法律第百三⼗二号)第三⼗条の六第⼀項」と、同法第二⼗条中「事業場」とあるのは「事業所」と、同法第二⼗五条第⼀項中「第⼗
八条第⼀項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇⽤の安定及び職業生活の充実等に関する法律第三⼗条の四」と読み替えるものとする。
(厚⽣労働省令への委任)
第三十条の八 前二条に定めるもののほか、調停の⼿続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
第十章 雑則
(助⾔、指導及び勧告並びに公表)
第三十三条 厚生労働大臣は、この法律の施⾏に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導⼜は勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、第三⼗条の二第⼀項及び第二項(第三⼗条の五第二項及び第三⼗条の六第二項において準⽤する場合を含む。第三⼗五条及び第三⼗六条第⼀項において同じ。)の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
(資料の提出の要求等)
第三十五条 厚生労働大臣は、この法律(第二⼗七条第⼀項、第二⼗八条第⼀項並びに第三⼗条の二第⼀項及び第二項を除く。)
を施⾏するために必要があると認めるときは、事業主に対して、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
(報告の請求)
第三十六条 厚生労働大臣は、事業主から第三⼗条の二第⼀項及び第二項の規定の施⾏に関し必要な事項について報告を求める
ことができる。
2 (略)
(権限の委任)
第三十七条 この法律に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その⼀部を都道府県労働局⻑に委任することができる。
2 (略)
(適用除外)
第三十八条の二 第六条から第九条まで、第六章(第二⼗七条を除く。)、第三⼗条の四から第三⼗条の八まで、第三⼗三条第⼀項(第八章の規定の施⾏に関するものに限る。)及び第二項並びに第三⼗六条第⼀項の規定は国家公務員及び地方公務員につい
て、第三⼗条の二及び第三⼗条の三の規定は⼀般職の国家公務員(⾏政執⾏法⼈の労働関係に関する法律(昭和二⼗三年法律第二百五⼗七号)第二条第二号の職員を除く。)、裁判所職員臨時措置法(昭和二⼗六年法律第二百九⼗九号)の適⽤を受ける裁判所職員、国会職員法(昭和二⼗二年法律第八⼗五号)第⼀条に規定する国会職員及び自衛隊法(昭和二⼗九年法律第百六⼗五号)第二条第五項に規定する隊員については、適⽤しない。
(罰則)
第四十一条 第三⼗六条第⼀項の規定による報告をせず、⼜は虚偽の報告をした者は、二⼗万円以下の過料に処す。
そして、より具体的な防止措置のために、この法律の委任によって、厚生労働省告示が定められています。
ハラスメント防止措置を分かりやすく言うと?
パワハラ防止法は、パワハラ防止の為に、以下の措置を講じるよう、義務付けています。
1 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
⑴ 職場におけるハラスメントの内容・ハラスメントがあって はならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
⑵ ハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内 容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
⑶ 相談窓口をあらかじめ定めること。
⑷ 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。 また、広く相談に対応すること。3 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
⑸ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
⑹ 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
⑺ 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
⑻ 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)4 1から3までの措置と併せて講ずべき措置
パワハラ防止対策。企業にとって大事なことは? – ハラスメント防止(パワハラ セクハラ)の研修やろう! (pawaharasoudan.jp)
⑼ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
⑽ 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。
私見、パワハラ防止法の重要ポイント
実は、パワハラ防止法は、よく読み込むと、かなり厳しい法律です。罰則規定はないですが、行政指導が入りやすい法律となっています。そのポイントは
相談窓口を機能させることです。
具体的には、
- 相談窓口を設置して機能させること
- ハラスメントの相談があった時は、迅速に対応すること。
- 迅速に対応して、必ず再発防止措置を講じること。
- ハラスメントの事実が認められなくても、実施しなければいけない
ということです。
相談に対して、必ず再発防止を講じなければならないことで、相談窓口の機能を法律でも担保しているのです。
守らないと、労働局から監督指導が入ります。
ハラスメント防止法を守らないと、労働局から監督指導が入る可能性があります。
法的根拠は、これです。
(紛争の解決の援助)
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
第三十条の五 都道府県労働局⻑は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方⼜は⼀方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導⼜は勧告をすることができる。
要は、当事者である労働者が申告すれば、労働局は必要な助言・指導・勧告します!という事なのです。
まとめ
貴社は、パワハラ防止法に則って、ハラスメント防止体制ができているでしょうか?
私たちは、ハラスメント防止体制作りのお手伝いもしていますので、是非、ご相談ください。