パワハラの相談に対応するときの心がけとは?
企業様も、個人さまもパワハラ対応のご相談を承っております。
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私たち職場環境改善工房は、以下のお電話で、企業様や個人さまのハラスメント対応の相談を承っております。
対応時間は、平日の10:00~18:00です。※但し、すぐに出られない時がありますので、その時は折り返します。
また、メールフォームのご相談も、こちらからもできます。
ちなみに、ご相談に対応するコンサルタントのプロフィールは、こちらになります。
特にハラスメント相談窓口において、重要なことですが、パワハラの相談に対応する時に、大切にしなければいけないのは、「相談者の気持ち」です。意外とこの「相談者の気持ち」を置き去りにして、「カタチだけ解決」を図ろうとして、かえってトラブルが広がったり、再発防止の機会を失って、それが蓄積され、自死の事件が起こることさえあります。
今回、私が1000件以上のパワハラ個人相談に対応した経験から、「相談者の気持ちに寄り添った」パワハラの相談の対応について、お話いたします。
目次
パワハラの相談への対応は、労働相談の中でも「最難関」
パワハラの相談を受けても、どう対処して良いのか、分からず、内心では右往左往してしまう、という事もあるかと思います。
実際、労働相談の相談員の中でも、パワハラの相談は、「最も難関」と言われています。なぜでしょうか。
Q パワハラの相談が「難関」と言われる理由は?
A相談者が「パワハラ」という言葉を曖昧に使うから
- 「パワハラ」という言葉が、広く人口に膾炙していて、使いやすい。
- 「パワハラ」という言葉で、不快感を代弁する
- 「パワハラ」という言葉で、自分が正しいことを証明しようとする
- 「パワハラ」という言葉で、同情を買おうとしている
パワハラという言葉が、不快な感情を正当化するために使われていて、物事の本質を捉えることを妨げている
そうです。パワハラの相談はとても曖昧なところから始まるのです。そして、話を聞いて行って、問題の本質を捉えていくことが大事なのです。
しかし、この「パワハラ」という言葉の曖昧性に振り回されてしまうので、パワハラの相談は対応が「難関」になるのです。
パワハラ相談に対応する基本は、「話を整理すること」
パワハラの相談をされる方は感情的になる嫌いがあります。そのため、その相談の内容があちこちに飛ぶきらいがあります。
相談というのは、なんでもそうですが、その話を整理する必要があるのですが、パワハラ相談の場合は、「パワハラ」という言葉で集約されてしまい、話の筋が見えないことが多いのです。
でも、それは、そうです。本人でさえ、どうすれば良いのか分からないのですから。
パワハラ相談を受けるときに心得ておくこと1
相談者本人も、どうしていいのか分からない、ということ
という事は、相談を受ける側にもそれなりの技量が必要になってきます。それは、話を聴ききることです。
パワハラ相談を受けるときに心得ておくこと2
- 相談者の話を聴ききること
- 相談者の話を否定しない。
- 不安・不満・不便・不快の感情を聴ききる。←一番重要
- アドバイスはしない
- アドバイスは、求められたらする。
- もしくは、「アドバイスしても良いですか?」と聴いて、アドバイスする。
特に、相談者の不安・不満・不便・不快の感情を明確にしていくという作業は、とても大事になってきます。
ここが明確にすることは、相談内容を整理する上で大事なことなのです。この感情の部分を聞いていない相談員が多く、パワハラ相談者は、モヤモヤとした感情を残したまま、アドバイスを聞かせられる状態になってしまいます。
パワハラの相談への対応で大事なことは、「相談者の気持ちに寄り添うこと」
パワハラの相談者は、「まず、私の話を聞いてほしい」という方が多数です。どうしていいか分からず、悩み・苦しんで相談をしているのです。
だからこそ、まず、気持ちを分かってあげることが大事です。まさにこういう事です。
Q 相談者の気持ちに寄り添うって、どういうこと?
A 気持ちをわかってあげること
Q 話を聞いてあげるって、どういうこと?
A 気持ちをわかってあげること
パワハラ相談をする方の感情として、以下のようなものがあります。
パワハラ相談者の感情
私が味わった苦しみの感情を、相手にも味わわせてやりたい。
この感情は、別名、「腹いせの感情」とも言います。
気持ちが分かってもらえない感情が蓄積すると、「私が味わった苦しみを相手にも味わわせてやりたい」という腹いせの感情に転嫁します。
腹いせの感情は、どう生まれるのか。
分かってもらえなくて悲しいなあ~
分かってもらえないことが怖い~
という感情が蓄積され、苦しみとして自覚できたときに、
その苦しみを与えた者に対する憎しみが生まれます。
但し、憎しみはいきなり生じるのではありません。分かって欲しいことが分かってもらえないことが積み重なることで、憎しみが生じるのです。
つまり、パワハラの相談を受けるときにやらなければいけないのは、「気持ちを分かってあげること」なのです。
気持ちを分かってあげないと、相談者は無意識で無自覚に心の中で拒絶をし始め、相談担当者への信頼感を失なっていきます。 そして、さらに状況が悪化することもあるのです。
パワハラの相談を受けるときの鉄則の流れ
- パワハラ相談者の気持ちを分かってあげる
- (気持ちを分かったうえで)具体的な解決策を提示する。
つまり、この流れを維持できていないと、相談対応が中途半端になってしまうのです。
パワハラ相談者の気持ちを分かってあげるには、どうしたら良いの?
では、パワハラ相談者の気持ちを分かってあげるには、どうしたら良いでしょうか?それには、基本があります。
パワハラ相談者の気持ちをわかってあげる基本
答えは、相談者が持っている!!
相談者の気持ちは、相談者の言葉の中にあるということです。
相談者の言葉をキチンとキャッチすることが、気持ちを分かることの近道になります。
しかし、相談を受ける人は、話を聞いているふりをしていたり、話をすり替えたり、無責任に対応することが多いのです。
パワハラ相談を受ける人がやりがちなパターン
- 相談者を変えようとする・・ダメです。許しません。私が思ったことと、同じことを思いなさい。
- 相談者を反省させようとする・・相談者の想いを拒否・拒絶する
- 相談者を否定して、受け入れない・・受け入れない
- 相談者の話をすり替えて、責任転換する・・話をすり替えて、ごまかそうとする
- 相談者の話を拒絶して、命令する・・つべこべ言うな。○○しろ!
- 相談者の話を、自分の不安だけを取り除くために聞いているだけ・・なんで?どうして?なにがあったの?
- 相談者の話を、人ごと、他人事、無責任に聞いている・・気持ちは分かると言うだけ。
- 相談者の話に対して、その場しのぎにお説教する・・○○した方が良いよ! 話し合った方が良いよ
- 相談者の話に対して、「がんばれよ!」など激励する・・わかっていない。理解していない。本質的に無責任。
- 相談者の話に対して、無視・・黙る
これらの共通点は、「相談者の話を聞いていない」ということです。
無意識の「話を聞きたくない」という感情が、
無意識で無自覚の「気持ちを聞かずに、勝手にアドバイスをする」という言動を生み出すのです。
不安や不満を聞き出すヒントは、相談者の言葉の中にあるのに、そこには思いを至らせず、無責任であったり、無関心に対応していることが多いのです。それは、気持ちが分かっていない、無責任なアドバイスになるのです。
ですから、パワハラ相談者の気持ちをキチンと聞くためには、以下のことが必要です。
パワハラ相談者の気持ちをキチンと聞くための8つの法則
- 共鳴する
声の大きさ、リズムを合わせる。調子を合わせることで、相談者に「共感してもらっている~」という安心感を作ります。 - 共感する
大きくうなずく。気持ちを分かる・・快感情を分かる。不快感情を分かる。 - オウム返し
ミラーリング。相手の言っている言葉をそのままオウム返しする。 - 要約する
相談者が言っていることをまとめる。「要は○○ということですね。」 - オーバーリアクション
ボディーランゲージ。体を使って大きくうなずく - 「そ」ではじまる接続詞+気持ちに寄り添う言葉
「そうですね」「そういうことなんですね。」「それは良いですね」など、「そ」で始まる言葉で肯定し、「嫌だったんですね。」「嬉しかったのですね。」「腹が立ったのですね」「悲しかったのですね」などの気持ちに寄り添う言葉を添えます。 - 質問するときは、前もって「質問して良いですか?」と確認する。
話を聴いている内に、確認したり、質問したくなったりすることがあります。その時は、いきなり質問するのではなく、「質問して良いですか?」と確認してから質問します。いきなり質問をすると、相談者の心に「話を遮られた=気持ちを否定された!」というスイッチが一瞬にして入ります。 - アドバイスはしない
パワハラの相談に対して、アドバイスはしないのが原則です。もし、アドバイスが必要と感じたのであれば、「アドバイスいりますか?」と訊いて、「いる」と相談者が答えたときにアドバイスをします。
相談者の言葉に共感し、共鳴することで、「気持ちを分かってもらえている」と言う実感を相談者に感じていただくことが大事です。
この実感が無いと、相談者が今後どうしてよいのか冷静になれないのです。
また、この実感が無いと、相談者の中に不信感が芽生えます。不信感に気づかずに相談窓口が対応を進めると、不平や不満が残り、パワハラ防止法が義務づける対応さえも遵守できない状態になってしまう可能性が高くなります。
一番大事なのは、「気持ちを分かって貰えている」という実感をパワハラ相談者が抱くこと。
その上で、どのように解決していくかを明確にしていくことが大事です。
パワハラ問題解決の提案は、「どういう不安を持っているのか」を具体的にすることが前提にある。
気持ちを分かるという事は、どういう不安を持っているのか、整理することに他なりません。どういう不安を持っているのか自覚できれば、どういう状態であれば安心できるのか、という事もはっきりと見えてきます。
また、パワハラ相談を受ける人は、どういう方向性で解決をしていくかという事を相談者に示すことも必要です。
そのために、相談者にしていく質問があります。
パワハラ相談者にしていく質問
- どういう不安があるの?
(パワハラ相談者の答えに対して)要は、〇〇という不安なんですね。 - どういう状態であれば、安心できると言えるの?
(パワハラ相談者の答えに対して)要は、〇〇であれば、安心できるのですね。 - いま、どういう問題があるの?
(パワハラ相談者の答えに対して)要は、〇〇が問題と感じているのですね? - 安心するために、〇〇したら、〇〇のように問題が解決できますが、いかがでしょうか?
アドバイスしてもよろしいでしょうか? 〇〇したら、〇〇のように問題が解決できますが、いかがでしょうか?
不安をもとに解決方法を提案していくという事は、パワハラ相談でも、非常に大事なことです。
しかし、ハラスメントを受けることで得ている不安を明確に認識しないと、問題解決の道筋を提案することができないのです。
まとめ
パワハラの相談の対応の基本をまとめると、以下のようになります。
大基本
- 相談者の気持ちを、諦めずに分かろうとすること
相談時にすべき基本
- 話を整理すること
- 相談者の気持ちに寄り添う事
- 不安を聞き出し、問題解決の提案をすること。
その上で、無事にパワハラ問題を解決する道筋を提示していくのです。安心感のある相談対応は、説得力のある厳しい対応にもつながり、ハラスメントの再発防止にもつながってくるのです。
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