パワハラへの企業の対応で大事なことは、コミュニケーション経営
企業として、パワハラにどう対応していいのか、なかなか分からないということもあると思います。今回は、パワハラ防止と企業経営の結びつきの、理想の姿について、パワハラ防止の基本的な考え方をベースとして、お伝えしたいと思います。
目次
パワハラ防止において、企業が見落としがちなもの
パワハラ!と言うと、何がパワハラに当たるかどうかを判断しがちです。
実際に一般的な人のパワハラへの感覚も、「何がパワハラに当たるのか」という事に注意が行きがちです。
一般的な人の「パワハラ」の感覚
しかし、「パワハラを防ぐ」という観点から言うと、どういう行為がパワハラなのか、という視点は、パワハラ防止を「限定的にさせる」という副作用が伴うのです。なぜなら、「パワハラがあるから、パワハラを防ぐ」という図式は、パワハラ認定しなければ、パワハラ防止をしなくても良いという図式さえ成り立たせてしまうからです。
だから、大事なことは「パワハラがあろうとなかろうと、パワハラを防ぎ続ける」ことなのです。
パワハラ防止における、企業が大切にすべきこと。
- 「何が、パワハラなのか、パワハラで無いのかを判断する能力を持つことではない。」
- 常に、パワハラを防いでいく取り組みをしていくこと。
- パワハラの訴えに対しては、「必ず、再発防止を講ずること!」
大事なことは、「何がパワハラか」でもなく、「パワハラをすることは許されない」でもない。
企業におけるパワハラ防止において、「何がパワハラか」を判定することが重要でないことは、パワハラ防止法が企業に課しているパワハラ防止措置から見ても、明らかです。
ここから見えることは、パワハラを未然に防ぐ取り組みだけでなく、「パワハラの訴えがあったら、改めて再発防止策を講じること」が義務づけられていることです。これはパワハラの事実が認められなくても同様なので、とにかく、ハラスメント防止をし続けることが大事!という事になるのです。
また、よく、「パワハラをすることは許されない」というコメントを大企業などで見かけることもあります。しかし、これには致命的な欠陥があります。パワハラは誰でもしてしまうからです。だからこそ、些細なところから「再発防止」をしていく必要性が生まれるのです。
「愛情あるコミュニケーション」を浸透させることが、一番のパワハラ防止。
では、どのようにしたらハラスメントを防ぐことができるのでしょうか? そのことを知るには、ハラスメントコミュニケーションの本質を知ることが必要です。
ハラスメントの心理に関する記事
ハラスメントコミュニケーションの本質は、「自分だけが心理的優位に立つ」心理です。自分だけなので、相手のことなど考えていません。そして、自分だけ心理的優位に立つために、自己正当化/責任転換/他者否定のコミュニケーションを取るのです。
「自己正当化/責任転換/他者否定」の動機から生まれるコミュニケーション
- 強制的 無理やり、頭ごなし、押し付ける、責める、諦めさせる、威圧する、怯えさせる、委縮させる、拒絶させる
- 怒る 怒鳴る 同情させる 混乱させる 罪悪感を持たせる 責任を押し付ける やって当たり前 当然だろう
ここには、まさしく「ハラスメントになるコミュニケーション」があります。
これらのコミュニケーションの特徴は、一方的だという事です。そして相手の気持ちを分かろうと一切していないことにも特徴があります。
ですから、ハラスメントの無い風土を作っていくためには、「相手の気持ちが分かろうとし続けるコミュニケーション」が必要なのです。気持ちが分かって貰ったら、どうなるのでしょうか?
気持ちを分かってもらうとどうなるの?
- 意欲がわく
- モチベーションが上がる
- 心が落ち着く
- 成長する
- 居場所となる
- 「この人の為に! この会社の為に!」という気持ちになる。
- 信頼関係が生まれる
気持ちが分かる事、分かろうとすることは、パワハラを無くし、信頼関係を築いていく基本中の基本になっていくのです。
では、どうすれば良いのでしょうか?人は他人の言動によって「満たされたい欲求」があります。それを満たすことが大事です。
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人が満たされたい欲求には、どういうものがあるの?
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大まかに、4つの欲求があります。その内容は、以下の通りです。
- わかって欲しい欲求
気持ちをわかって欲しい 感情を分かってほしい - 認めてほしい欲求
仕事を認めてほしい 頑張っていることを認めてほしい - かまってほしい欲求
同情してほしい 私だけを特別に見てほしい - 思い通りにしたい欲求
自由にさせて 規制しないで 禁止しないで
- わかって欲しい欲求
これらの中で、特に「①わかって欲しい ②認めてほしい」は、業績を上げるうえでも、パワハラのない会社づくりの為にも満たしていく必要があります。わかって欲しい欲求を満たすと安心感・信頼感が生まれます。認めてほしい欲求を満たすと、もっと頑張ろう!というモチベーションが上がります。
その欲求を満たすコミュニケーションこそ、愛情あるコミュニケーションです。ですから、相手の欲求を知り、分かって、認めて、褒めることがとてもとても大事なのです。
愛情あるコミュニケーションの4つのプロセス
- 知って
相手の満たされたい欲求を知る。 - 分かって
相手の満たされたい欲求を理解する。言葉にする
要は○○ですね。 - 認めて
相手の満たされたい欲求を自分に受け入れる - 褒める
相手が満たされたい欲求を満たす。
心の栄養を満たす、言葉・言動
相手の気持ちや欲求を満たせば、パワハラは起こりようもないのです。そして、それは相手を知ろうとする思いやりや愛情から生まれます。愛情あるコミュニケーションを社内全体に浸透させることが、パワハラ防止の基本となるのです。
パワハラのない会社づくりは、「愛情あるコミュニケーション」の構築を中心にやると、浸透しやすい。
私たちは、パワハラのない会社の定義を作っています。
パワハラのない会社の定義
平たく言うと、会社としての意志と方向性をもって、働きやすく、かつ、働く人の能力を活かすということです。
実は、ここに「コミュニケーション経営」という考え方を入れると、ハラスメント防止と経営の本質的な融合が可能になってくるのです。
コミュニケーション経営7つの要素
- ヒト(人をどのように育て、活かしていくのか)
- モノ(どう技術・ノウハウ・設備などを開発し、つかっていくのか。)
- カネ(どのようにお金を使うのか)
- 時間(どのように時間を使うのか)
- 環境(どう働きやすい環境をつくるのか)
- 方法(どのような方法・手段を使って)
- ストローク(愛情あるコミュニケーションをもって)
愛情あるコミュニケーションは、人の成長意欲やモチベーションを保ちますが、その、人の成長の集合が企業の成長と考えたとき、愛情あるコミュニケーションから、企業の経営をしていくことは大切なのです。
まとめ
パワハラを無くしていくには、社員ひとりひとりの価値や存在を認め、それをコミュニケーションと通じて表現し、互いを高めていく風土を作っていくことが一番です。
私たちは、企業のハラスメント対策でお悩みの方のお手伝いをしております。
パワハラ対策でお悩みの方、ぜひご相談ください。
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