大企業におけるパワハラでお困りの社員にお伝えしたいこと

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パワハラ地獄敢闘記(ホームページ用)
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パワハラ相談(全国対応)
電話・メール無料窓口は以下から!

私たち職場環境改善工房は、以下のお電話でハラスメント相談を承っております。
基本は、10:00~18:00です。※但し、すぐに出られない時がありますので、その時は折り返します。

また、メールフォームのご相談も、以下のボタンをクリックしてできます。

ちなみに、相談員のプロフィールは、こちらになります。

大企業におけるパワハラは、カタチだけ防止体制を整えているから、実質的にハラスメントの無い職場づくりに貢献していないところがあります。企業側の「防止したつもり」姿勢がかえって、納得のいかない解決になることもあるのです。だからこそ、大企業の「カタチ」だけを利用して、パワハラに遭った時の対応の基本をお伝えいたします。

大企業の方がパワハラで困った時にまずすべきこと。

私たちは、いわゆる「大企業」の方からのパワハラ相談に対応しています。大企業の方への対策指南として、次のことを行うようアドバイスしています。

  • パワハラ防止規定を入手すること
  • パワハラ相談窓口はどこか把握すること

これは、大企業であれば、カタチだけでも必ずあるからです。そして企業の従業員であれば、それは知ることができる権利を持っています。なぜなら、パワハラ防止規定は就業規則の性格を有しており、パワハラ相談窓口は、社員に周知しなければいけないからです。そして、ここから「パワハラ」に対して、どう解決に向けて戦略をとるべきか、明確になってきます。

大企業は、パワハラ相談への対応マニュアルは「カタチだけ」しっかりしている。

大企業だからこそ、パワハラ相談への対応マニュアルは必ずしっかりしている!という法則があります。それは、私たちの相談対応経験からでも分かります。

だから、まずパワハラ防止規定を入手し、相談窓口がどこかを把握することが、第一にするのです。

また、大企業がカタチだけはパワハラ防止体制を作っているということが分かる記事があります。そこからも、大企業がハラスメント防止対策を講じていることが見て取れます。ご紹介します。

【引用はじめ】

【特集・ハラスメント】大手企業40社「社内対策」の実情

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 2020年6月1日より「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)が施行された。ハラスメントについて「雇用管理上必要な措置を講じること」が事業主の義務となり、企業はこれまでにも増して意識改革を迫られている。

 そこで本誌取材班は各業界の主要企業を対象に、①ハラスメント被害の訴えを受け付ける部門はあるか、また、訴えはどう処理されているか、②ハラスメント防止に特別な施策を行っているか―について大規模調査を行った。

 ほかに「ハラスメントの定義」や「最近起こったハラスメント事例」に関しても質問したが、前者は「法令の定める定義通り」、後者は「個人情報でもあるので、答えられない」といった回答が大半を占めたため、紙幅の関係上、本稿では割愛している。

メガ銀の対応は総じて良好

 まずは、「半沢直樹」で陰湿な業界イメージが増してしまった感のあるメガバンクから。しかし、総じて回答の状況は良かった。

 三井住友銀行は〈アラームイン(内部通報窓口)を用意し、行内窓口として人事相談室、行外窓口として弁護士事務所にて通報・相談を受け付けている。研修を開催し周知徹底を図っている。また、行員には「セクハラ・パワハラマニュアル」(ガイドブック)を作成し配布している〉。

 みずほ銀行(回答はみずほフィナンシャルグループ)も同様に社内に加え、社外のカウンセラーや弁護士の窓口を設けている。相談や通報に対しては〈相談者・通報者の同意を前提に、人事部門と対象部署が連携して事実確認を行った上で、会社として必要な対応を行う。ハラスメントの実態に応じ、人事処分や異動等必要な人事上の対応を行っている〉とし、〈全社員向けに映像教材等を用いた研修も定期的に実施。管理職に対してはハラスメントに関わる正しい知識を習得してもらうことで未然防止に努めるとともに、ハラスメント検知時の対応についても徹底するべく定期的に研修を実施している〉と模範的な回答を寄せた。

 三菱UFJ銀行も窓口や研修制度は他2行と同様だが、被害の訴えがあった場合は〈内容、訴え主の意向を確認の上、人事部へ連携。訴え主、対象者だけでなく周辺ヒアリングも実施した上で、ハラスメント事実が確認できれば就業規則に基づき厳正に処分を実施〉している。「周辺調査」は特筆すべき点と言える。

 店舗の統廃合など、人員削減が進むメガバンク。リストラにハラスメントは〝付きもの〟で、中身を伴った運用が求められる。

 他の金融については、第一生命保険が社内外の窓口を設け、〈報告・相談者のプライバシーの保護を徹底するとともに、報告・相談したことを理由に不利益を受けることがないことも周知を徹底することで、相談しやすい体制を整えている。社内窓口は、申出受付後、上記プライバシーの保護を徹底しながら、事実確認の調査・評価を行う。社外窓口にでも申出受付後、社内窓口と連携をとりながら、適切に事実確認の調査・評価を行っている。そもそもハラスメントを起こさないために、役員含めた全従業員に対し、ハラスメント防止研修を実施。役員・管理職向け等の職層別研修を年10回程度、全従業員向けには年4回研修を行なっている〉と模範的回答。

 また、東京海上日動火災保険も〈人事企画部・各地域を統括する業務支援部・各部支店内に相談窓口を設置。相談者のプライバシーに配慮しながら事実関係を迅速かつ正確に確認し、人事企画部のハラスメント対応チームにて事案の早期かつ適正な解決を図る〉。事案が発覚した場合は〈加害者に対しては就業規則等に則り厳正に対処する。「ハラスメント防止規程」を策定し、ハラスメント防止に努めるとともに、万一問題が発生した場合も早期・適切な対処を行うことのできる体制を整備〉。啓発については〈直近では法改正を踏まえ、全社員対象にパワハラ防止研修を実施している〉と模範的。

許されざる日立の対応

 日本経済を牽引してきたメーカー各社はどうか。多くが生産拠点を抱え、オフィスワークとは異なる企業風土があるはずだが......。

 まずはトヨタ自動車の場合、他社と同じく〈相談窓口があり、各種相談に対してしかるべき部署にて迅速かつ誠実に対応。ハラスメント防止に向けた各種研修の実施や、イントラネットや各種研修、名刺大のポケットカードの配布等を通じた周知活動等を実施している〉という。工場でも携帯できるポケットサイズというのが、メーカーらしい試みと言えるだろう。

 同業他社はというと、意識の低さが露呈した。日産自動車は〈日産としてはコンプライアンスを重視し、かねてからダイバーシティにも力を入れておりますが、先週の決算や、次週の新車発表等で立て込んでおり、時間的に対応が難しく、恐れ入りますが、今回は辞退したいと思っております〉。

 また、ホンダも〈対応事例についての公表は控えさせていただきますが、弊社では「労働施策総合推進法」に基づき、適切に対応を進めております〉。

 日産の回答拒否の理由は広報担当者個人が忙しいからというものだが、経営危機にあって広報がまともに機能していないことが危惧される。一方のホンダは事実上の無回答。同社が広報対応を軽視しているというのは記者の間でも知られたところで、広報部門内部がゴタついていたとの話もどうやら本当だったらしい。

 一方、経団連会長を輩出してきたメーカー各社はどうか。

 日本製鉄は〈社内外に複数のハラスメント専用の相談・通報窓口(匿名も可)を設置しており、社員が自分自身で抱え込まず周囲に相談し、解決できるよう環境整備に努めている〉とした上で、〈内部統制・監査部の担当副社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」が内部統制・監査部からハラスメントを含むリスク管理に関する事項等について定期的に報告を受け、取り組み状況を審議・確認している。重要なリスクを含め、委員会での審議・確認内容は会長、社長等が出席する経営会議において報告、審議を行っている。就業規則等社内規程でハラスメントの未然防止の社内方針を明確化するとともに、リーフレットを作成し、全従業員への周知啓発を行っている〉。また、〈定期的に全従業員に対する意識調査アンケートを行い、ハラスメントを含むコンプライアンスや内部統制活動に対する意識の確認、設問を通じた教育・啓発も行っている〉と具体的に記述、さすが、かつての経団連会長企業と言える回答だ。

 また、20年5月、経団連会長を務めた御手洗冨士夫会長が社長兼CEO(最高経営責任者)に返り咲いたキヤノンも窓口設置はもちろん、〈セクハラとパワハラの禁止に加え、マタニティ・ハラスメントなどの禁止を明記した「就業規則」「ハラスメント防止規程」を制定している。同規程を国内グループ会社に周知し、同様の規程を設けている。「ハラスメントを許さない」という考えのもと、経営幹部をはじめ、働くすべての従業員にハラスメント防止を周知。防止対策としては、各事業所、国内グループ会社の担当者を対象に定期的に連絡会を開催し、各窓口の運用状況について把握・共有するほか、マニュアルの確認や対応方法の指導を行っている。20年6月の改正労働施策総合推進法「職場におけるハラスメント防止対策強化」に合わせて、全社員を対象に管理職版・一般職版のEラーニングを実施〉と詳細な回答を寄せた。本誌でも以前報じたが、同社は「上司が女性の部下を安易に飲み会に誘えない」(社員)というほど、ハラスメントには厳格だという。ちなみに、女性広報担当者が本誌調査に熱心に対応してくれたことも付記しておきたい。

 日鉄、キヤノンに引き換え、許されざる対応だったのが現経団連会長、中西宏明会長の出身企業である日立製作所だ。本誌の再三の確認連絡にもかかわらず、「取材拒否」と伝えることなく、完全無視に徹した。担当の女性広報も何やら覇気のない雰囲気で、広報部門がまともに機能していないようだ。日立広報の対応詳細については、改めて追及することとする。

 一方、日立とは一時期、統合の観測まで出た三菱重工業は、〈社内窓口と社外窓口の両方を設置。相談窓口では、相談内容を聞き、問題点を整理し、解決策の検討等のサポートを行う。解決策の検討のために関連部門へのヒアリング等も行うが、当事者のプライバシーや秘密を厳守し、相談者が相談したことで不利益を受けることがないように配慮している〉。社員はもちろん、〈社内各拠点に設置しているハラスメント相談員に対しては、適切に対応できるよう、継続的な教育を実施している〉と回答。日立との違いを見せつけた格好だ。

JR東海は事実上の無回答

 公益企業の対策はどうか。

 東京ガスは〈就業規則においてハラスメント行為が懲戒の対象となりうると規定。コンプライアンス部に「相談窓口」を設置し、外部の専門機関と連携した窓口相談も設置。窓口に相談が入った場合の基本的な流れは、①相談に基づく内容把握、②相談者の承諾をもとに職場で事実確認、③事実確認の結果を踏まえ、相談者・職場に対して解決に向けた支援の実施、④途中経過等を相談者の意向に基づき、情報提供。様々な研修や職場単位の勉強会などで、ハラスメントやその原因となるコミュニケーション手法に関するテーマを取り上げ、社員の啓発活動を積極的に実施。その他、職場レベルからの人権尊重も推進〉と解決のプロセスも詳述。模範的な回答だ。

 それに比べて、東京電力ホールディングス(HD)はというと、〈相談窓口を設置し、関係者の事実確認等を通じて案件ごとに適正な処理をしている。人権啓発委員会の設置、各職場に人権啓発担当の設置、機会を捉えた人権啓発に関するメッセージの発信、研修資料の発信、各職場での研修実施等を実施〉と淡泊な内容。回答にもおざなり感が窺え、10年が経とうという福島第1原発事故以降の疲弊感が色濃く滲む。

 輸送系では、全日本空輸(ANA)が〈各部署の人事・総務担当、グループ共通の内部通報窓口で対応。厚労省のガイドラインに則り事実関係を確認し、ハラスメント行為が確認された場合は適宜是正措置を指示。ハラスメントの事実が確認された場合は、事象に応じて適宜是正措置を取る。Eラーニングによる教育受講、社員研修、ハラスメント防止規則の設定などを行っている〉と回答。

 片や日本航空(JAL)も〈ハラスメントの発生を防止すべく規程を定め、役員・社員等によるハラスメント行為を禁じている。問題が生じた場合は適切に対応するための措置を講じる。職場におけるハラスメントの防止等に関する施策を実施するための相談窓口を設置し、適切に対応している。ハラスメント防止に関する規程を定めるとともに、安心して働ける職場づくりを推進していくための研修を実施している〉と答えた。

 酷かったのがJR2社だ。JR東日本は〈会社の信用失墜につながりかねない重大な事案であり、厳正に対処している。窓口を設けており、事実関係を確認し適切な措置を行っている。コンプライアンスに関する全社員教育を行っている〉と、単なる箇条書き。組合問題を抱えてきた経緯から、ハラスメントなどで収まらない〝粛清〟の過去が思い起こされてしまう。

〝天皇〟として君臨する葛西敬之名誉会長が取締役から降りたJR東海に至っては、〈ハラスメントについて、当社では法令に則り、適切に対応を行っております〉と、職員への思いやりのかけらも感じられない内容。ちなみにJR東海は、調査対象企業の中で最も早い対応だったが、1分もあれば答えられる中身に意味はない。

総じて意識の高い食品業界

 回答を見る限り、食品企業の意識は総じて高かった。

 アサヒグループHDは〈「グループ人事基本方針」を定め、従業員が活き活きと働き、能力を伸ばしていける環境づくりに努めている。「アサヒグループで働くすべての人の人格・人権・個性を尊重する」と謳っており、「国籍・人種・性別等による不当な差別を行わず、多様な価値観を尊重する」ことを定義として掲げている。グループ各社、各拠点の人事総務担当部門を、ハラスメント窓口担当とし、原則として男女1名ずつ設置している。また、企業活動に伴うリスクの早期発見を促し、重大問題を未然に防ぐことを目指して「クリーン・ライン制度」を設けている。職制を通じて解決することが困難な場合などにおいて、社内、社外のいずれかの窓口に通報等を行うことができ、匿名による通報等も可能。ハラスメント防止マニュアルを策定しており、全社員が閲覧できる環境を整えている。イントラネットの自己啓発を推進するコーナーで、全社員向けにパワハラ防止法研修メニューを展開し、全社員のハラスメントに関する正しい理解促進を図っている〉と、網羅的で模範的な回答。

 キリンHDも、ハラスメントを〈従業員への重大な人権侵害であり、職場の生産性を低下させる行為として位置づけ、許されるべきものではない〉と定義し、各職場と社外に相談窓口を常設。〈毎年6月をハラスメント撲滅月間として、グループ各社のトップがハラスメントを許さない旨の宣言を従業員に対して行うとともに、各職場単位でハラスメント研修を実施し、意識の向上を図る。人権に関する意識調査を毎年実施している〉と評価できる回答だった。

 味の素は〈事業所ごとに相談窓口を設置し、専門の研修を受講した相談窓口担当者が相談を受け付ける体制を構築。相談窓口担当者が当事者または通報者から相談を受け付けた場合、ヒアリングを行い、事実関係を整理するとともに、対応の方向性やプライバシーの保護等に関して要望があるかどうかを確認。その後、所属事業所の人事総務部門において事実関係に対応して関係者への確認を行い、ハラスメント行為是非の判断を行う〉とプロセスを詳述。一般的な研修に加え、〈全従業員対象にハラスメント等職場のコンプライアンス課題の洗い出しを行う会合を毎年実施している〉といい、こちらも模範的な回答だった。

 明治HDは〈相談窓口として、ハラスメントに関する相談を含む社内相談窓口と弁護士による社外相談窓口を設けている。相談窓口に寄せられた内容は、事実関係を調査の上、適切に対応を実施。コンプライアンス教育の一環としてハラスメント防止に関する研修等のほか、防止のための啓発資料を作成し周知するなどしている〉。

 そんな中、懸念が残るのが日本ハム。〈社内外に相談窓口を設けている。職場におけるハラスメント対策マニュアルに沿い対応している。ハラスメント防止を啓蒙するだけではなく、階層別研修等でハラスメント防止の研修を実施している〉と月並みな回答。18年1月には当時の末沢寿一社長がセクハラ行為で事実上解任されたが、回答にその反省は見えない。

相談件数も回答のユニクロ

 主に女性を顧客とし、社員にも女性が多いと思われる企業はどうか。筆頭というべき資生堂は、〈「資生堂グループ倫理行動基準」や倫理に反する言動、または反する懸念のある言動について相談・通報を受けるための相談窓口を社内外に設置。公正な調査解決ルートや通報(相談)者の不利益扱いの禁止を明示した規程を整備し、相談受付方法等とあわせて社員に周知。従業員が高い倫理観を持って活動するよう「資生堂グループ倫理行動基準」を定めている。全社員を対象にした定期的な人権啓発・企業倫理研修(Eラーニング含む)や階層別研修などを実施。職場におけるハラスメントやコンプライアンスの課題を特定してそのリスクを軽減するために、定期的な調査を実施。調査結果は全ての部署にフィードバックし、追加の研修を実施するなど、部署ごとに是正策を講じている〉として模範的な回答を寄せた。

 しかし、ユニ・チャームは〈りんりんダイヤル(社員相談窓口)を設置し、メール・面談にて対応。ESG本部企業倫理室の所管。定期的に研修を実施し、対象は入社4~5年目の若手、管理職、部署単位(課長と4~5人のスタッフでの少人数の定期ミーティングを実施〉と、窓口の名称や試みのユニークさはあったものの、本誌への回答内容は些か貧弱だった。

 売り場での女性社員が多い三越伊勢丹HDは〈ハラスメント専用のホットライン(人事部門が所管)、三越伊勢丹グループホットライン(ホールディングス内部監査室が所管)、各事業会社、各店舗の人事総務窓口が相談窓口になっている。啓蒙ポスターの掲示、ハラスメント防止Eラーニングの実施、ハラスメント防止委員会を開催するなどしている〉と回答。

 同じ小売りのファーストリテイリング(ユニクロ)は、〈職場・仕事に関する悩みの相談や、ハラスメントを含むコードオブコンダクト(CoC、行動規範)違反の通報ができる従業員向けのホットラインを設置。寄せられた案件はコンプライアンス担当者が調査し、重大なハラスメントと認められる場合、法務・コンプライアンス部の責任者などが参加する委員会で審議。就業規則あるいはCoC違反が認められた場合、懲戒委員会でも審議するなど、是正に向けて適切に対応〉。〈19年度にホットラインに寄せられた相談件数は1205件。このうち、ハラスメント、労務問題などに関する相談は406件。このうち、実際にハラスメントと認められた件数はごく少数〉と窓口の相談件数まで回答する姿勢は評価に値する。なお、研修制度についても〈役職者を対象としたハラスメント研修を行い、ハラスメントを取り巻く状況、未然防止策、事案が発生時に上司として取るべき対応について教育を行っている〉という。

遅滞して無内容の三菱商事

 総合商社については、躍進する企業と停滞する企業で、回答の質において明暗を分けた。伊藤忠商事が〈ハラスメント相談の一次窓口として専用電話および専用メールを利用(女性からの問い合わせは女性係員が担当)。人事総務担当部署より通報者と面談し、事実確認。特に就業規則違反と判断される場合は、コンプライアンス担当部署も面談に加わることもある。ハラスメントに関わる周知・教育を目的とする全社員向けEラーニングの実施などを行っている〉と網羅的に回答した。

 これに対して、ライバルの三菱商事は〈弊社ホームページのコンプライアンスの箇所を参照してください〉の一言。取材対応の実際について付言すると、期限から数日遅れた上でのこの回答。本誌20年11月号で詳報した通り、垣内威彦社長の下、かつてない〝理不尽〟な人事が罷り通っているという三菱商事。人事の荒廃は往々にしてハラスメントの蔓延を惹起するものだが、同社の広報にそんなネガティブイメージを払拭する意志はさらさらないようだ。

 それはさておき、通信・IT系企業のハラスメント対策はどうなっているのか。

 KDDIは〈関係法令およびガイドラインに則り、相談・申告窓口を設置。相談・申告があった場合、相談者の要望等を確認した上で不利益が生じないように対応。社員教育をはじめ、社内カウンセラー制度を採用し、社員が心身ともに健康的に会社生活を送れるようサポート〉と淡泊な回答。

 これに対しライバルのソフトバンクは、〈ハラスメント問題対応としてハラスメント相談窓口(社外)、ハラスメントを含むコンプライアンスの問題全般に関する相談を受け付ける窓口ホットライン(社内・社外)を設置。窓口への相談内容は、守秘義務により厳重に取り扱われる。相談者本人の承諾がない限り、相談があったことやその内容は上長や人事部門に報告されることはない。相談者本人と相談し、本人が承諾した場合に人事部門およびコンプライアンス部門に連絡が入り、相談のあった事象について社内で調査し、処分の検討を含めて適切に対応〉と相談者の保護に力点が置かれているという。また、昨今のリモートワーク対応も進んでおり、〈直近では、リモートワークにおける業務指示・リモートハラスメントに特化したEラーニング〉を実施している上、〈経営層へのハラスメントに関するオンライン研修。懲戒処分の対象となった社員への再発防止を目的とした個別指導〉など、メニューは豊富だ。ちなみに、当初は本誌への対応を渋っているような様子を見せた広報担当者は取材内容を知ると一転、積極的に情報を開示してくれた。自社のハラスメント対策に自負があるからだろう。

 また、DeNAも〈ハラスメント相談窓口を設置。相談があった場合は相談者の意向を確認し、相談者や行為者等のプライバシーを保護しながら事実関係を迅速かつ正確に確認するとともに、就業規則に沿って相談者および行為者に対して適正に対処。相談したことや事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを受けていないことも確認。相談窓口には男女それぞれ複数名の担当者を配置し、相談者の希望や相談内容に応じて担当者を決定するなど配慮する〉として、研修制度も充実しているという。

武田薬品の詳細回答

 もはや「日本企業」というイメージすらなくなってしまったグローバル企業はどうか。

 まずは外国人トップを戴く武田薬品工業は、〈相談窓口として「ハラスメント対策委員会」、社外の相談窓口として「EAP相談サービス」がある。ハラスメントを含め従業員が匿名かつ機密に懸念を報告できる「Takeda Ethics Line」を設けている。対策委員会はハラスメントの防止および発生時の円滑な対応を図るため、会社側と労働組合側の委員で構成、本社や工場といった事業所ごとに設けられている。会社側の委員は人事担当部門が務める。Takeda Ethics Line経由での報告は、グローバル・エシックス&コンプライアンス部門にて調査の要否を決定する。必要な確認や調査結果に基づき、制裁および是正措置が求められる場合には関連部門の経営幹部へと情報共有を行い円滑な対応を図る。上司と部下のコミュニケーションギャップをなくすべく、上司・メンバーがお互いの対話の質や頻度を高める Quality Conversations というコミュニケーションのメソッドを導入〉と回答。横文字が多くて少し分かり難いが、模範的な回答で、教育制度も充実しているようだ。

 また、ソニーは〈上司や人事に知られずに相談可能な窓口がある。同窓口で相談者の話を聞き、解決に向けた話し合いを相談者と行う。その中で、相談者が自ら解決する方法を見つけることもあるし、相談者の了承を得て、人事や関連する部署と連携しながら解決へ向けたアクションを検討していくこともある。社内、社外それぞれのルートで相談できる複数の相談窓口を設けており、社外相談窓口は匿名性も確保できるようにしている〉と回答した。

 最後に、ハラスメントが横行するイメージの強い広告代理店。電通の回答は22頁の別稿に譲るとして、業界2位の博報堂は〈社内の「ハラスメント相談室」、社外の「ハラスメントホットライン」がある。相談室では、厚労省発行の「職場におけるハラスメント対策マニュアル」を参考に、相談者のプライバシー保護には最大限配慮の上、適切に対応。社員にはポケットサイズの相談窓口が書かれたカードを配布。職場に求められる義務に該当する「研修」については、管理職以上等にとどまらず、全社員、派遣スタッフ、常駐者も対象として実施し、対策を強化〉しており、内容は充実している。

 以上、日立やJR東海、三菱商事などの無回答、事実上の無回答は論外として、大企業ということもあって、総じて、制度的には整備されていることが分かった。しかし、逆に言えば、似たり寄ったりというのも正直なところ。それ故、回答の充実ぶり、そして広報担当者の熱意が、各社のハラスメント対策の深度を測るバロメーターになったと言える。

 なお、他社と重複する回答内容については、紙幅の都合上で割愛した企業もあり、掲載分量の多寡が回答の質を必ずしも反映しているわけではないことを断っておきたい。いずれ、回答詳細を本誌サイト上で公開するなどして対応したいと考えている。協力企業には、この場を借りて感謝します。

【引用終わり】

しかし、いくら表向きはパワハラ対策を講じていても、「カタチ」だけになってしまっている可能性が高いのです。

相談窓口の機能まで義務化しているパワハラ防止法。
課題は「本当に相談窓口が機能していますか?」

パワハラ防止法が企業に義務づけている中でも、特に重要なのは、「相談窓口」です。なぜなら、端的に言うと、こういうことを義務付けているからです。

会社はハラスメント相談窓口を作らなければならない。

会社はハラスメント相談窓口を機能させなければいけない。

会社はハラスメントの相談を受けたら、適切に対応して、必ず再発防止を講じなければいけない

もっと言うと、ハラスメントの事実が認められなくても、再発防止を講じなければいけないのです。

大企業でも、ここまでハラスメント相談窓口を機能させているところは、皆無だと言えます。特に、この「再発防止を講じる」まで、相談窓口が自主的に対応しているところは無いのです。

また、上記の記事を見ていても、「パワハラ防止法が義務付けることを事実上やってないなあ・・・」と感じるところもあるのです。

労働局は、「パワハラ防止措置が講じられていない」という部分で、本人の申し出により、動く。

都道府県労働局は、パワハラ防止措置を企業が講じていない時に、指導や勧告をすることが出来ます。法的根拠は以下になります。

第十章 雑則
(助⾔、指導及び勧告並びに公表)
第三十三条 厚生労働大臣は、この法律の施⾏に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導⼜は勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、第三⼗条の二第⼀項及び第二項(第三⼗条の五第二項及び第三⼗条の六第二項において準⽤する場合を含む。第三⼗五条及び第三⼗六条第⼀項において同じ。)の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる

労働施策総合推進法

(権限の委任)
第三十七条 この法律に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その⼀部を都道府県労働局⻑に委任することができる

労働施策総合推進法

このことから、パワハラの相談窓口が再発防止を講ずるところまで動かない時は、労働局に申し立てをして、助言や指導をしてもらうという事も可能なのです。

実際に私たちのパワハラ相談対応でも、大企業のパワハラ相談窓口が機能していないために、相談者御本人に労働局に申し立てをしてもらい、助言や指導をしてもらったということがあります。

まとめ*大企業の方のパワハラ無料相談も承っております。

うちの会社は、パワハラ相談窓口動かないんだよなあ…と感じている大企業の社員は結構多い

実感をもってパワハラ相談窓口が「パワハラを無くすために」機能していると実感している、という大企業の社員は少ないと感じています。

しかし、大企業は表向きはパワハラ対策をしっかりしなければいけないので、そこを上手く突いたパワハラ対策戦略は練れるのです。

もし、大企業でお勤めで、パワハラに悩まされている方がいらっしゃれば、私たちに是非、ご相談いただければと思います。どのように対応するのか、解決までご相談に応じさせていただきます。

ハラスメントの無料相談を行っています。 企業様のハラスメント対応のご相談も承っております。
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