パワハラを訴えるのに、労働基準監督署ってどうなの?
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「パワハラ 訴える 労働基準監督署」で検索する人が多い
「パワハラ 訴える 労働基準監督署」で、googleの検索件数が、月間472件あります。
このように、「パワハラ 訴える 労働基準監督署」という検索ワードで、かなりの人が調べています。この動機には、以下のことが考えられます。
- 労働基準監督署から、会社や加害者に指導してほしい
- 労働基準監督署で、パワハラを認定してほしい。
労働基準監督署なら、パワハラをどうにかしてくれるかも、という期待がここには、あると思います。
しかし、労働基準監督署は、パワハラに対して事業所に指導することができません。 なぜなら、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は、労働基準監督署に対して、指導や勧告をする権限を与えていないからです。それ故に、パワハラ相談で、労働基準監督署を活用するのは限定的になります。
労働施策総合推進法のパワハラ防止の部分に、どういう規定があるか。
いわゆるパワハラ防止法は、「労働施策総合推進法 第9章」の部分です。そして、労働施策総合推進法の正式名称は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」と言います。
では、このパワハラ防止法の部分の規定を見てみましょう。
労働施策総合推進法 パワハラ防止の部分
第九章 職場における優越的な関係を背景とした⾔動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置
労働施策総合推進法
(雇用管理上の措置等)
第三十条の二 事業主は、職場において⾏われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えた
ものによりその雇⽤する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために
必要な体制の整備その他の雇⽤管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が前項の相談を⾏つたこと⼜は事業主による当該相談への対応に協⼒した際に事実を述べたことを理由と
して、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
3 厚生労働大臣は、前二項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指
針(以下この条において「指針」という。)を定めるものとする。
4 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、あらかじめ、労働政策審議会の意⾒を聴くものとする。
5 厚生労働大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
6 前二項の規定は、指針の変更について準⽤する。
(国、事業主及び労働者の責務)
第三十条の三 国は、労働者の就業環境を害する前条第⼀項に規定する言動を⾏つてはならないことその他当該言動に起因する
問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主その他国⺠⼀般の関心と理解を深めるため、広報活
動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇⽤する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する
言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協⼒するように努めなけ
ればならない。
3 事業主(その者が法⼈である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に
対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
4 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講
ずる前条第⼀項の措置に協⼒するように努めなければならない。
(紛争の解決の促進に関する特例)
第三十条の四 第三⼗条の二第⼀項及び第二項に定める事項についての労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係
紛争の解決の促進に関する法律(平成⼗三年法律第百⼗二号)第四条、第五条及び第⼗二条から第⼗九条までの規定は適⽤せ
ず、次条から第三⼗条の八までに定めるところによる。
(紛争の解決の援助)
第三十条の五 都道府県労働局⻑は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方⼜は⼀方からその解決につき援助を
求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導⼜は勧告をすることができる。
2 第三⼗条の二第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準⽤する。
(調停の委任)
第三十条の六 都道府県労働局⻑は、第三⼗条の四に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方⼜は⼀方から調停の申請
があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六
条第⼀項の紛争調整委員会に調停を⾏わせるものとする。
2 第三⼗条の二第二項の規定は、労働者が前項の申請をした場合について準⽤する。
(調停)
第三十条の七 雇⽤の分野における男⼥の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四⼗七年法律第百⼗三号)第⼗九条か
ら第二⼗六条までの規定は、前条第⼀項の調停の⼿続について準⽤する。この場合において、同法第⼗九条第⼀項中「前条第
⼀項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇⽤の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四⼗⼀年法律
第百三⼗二号)第三⼗条の六第⼀項」と、同法第二⼗条中「事業場」とあるのは「事業所」と、同法第二⼗五条第⼀項中「第⼗
八条第⼀項」とあるのは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇⽤の安定及び職業生活の充実等に関する法律第三⼗条の
四」と読み替えるものとする。
(厚⽣労働省令への委任)
第三十条の八 前二条に定めるもののほか、調停の⼿続に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める
そして、この法律における指導や勧告に関する規定を見ましょう。
労働施策総合推進法に関する、行政機関の指導・監督に関する規定。
第十章 雑則
労働施策総合推進法
(助⾔、指導及び勧告並びに公表)
第三十三条 厚生労働大臣は、この法律の施⾏に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導⼜は勧告をする
ことができる。
2 厚生労働大臣は、第三⼗条の二第⼀項及び第二項(第三⼗条の五第二項及び第三⼗条の六第二項において準⽤する場合を含
む。第三⼗五条及び第三⼗六条第⼀項において同じ。)の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合
において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
(資料の提出の要求等)
第三十五条 厚生労働大臣は、この法律(第二⼗七条第⼀項、第二⼗八条第⼀項並びに第三⼗条の二第⼀項及び第二項を除く。)
を施⾏するために必要があると認めるときは、事業主に対して、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
(報告の請求)
第三十六条 厚生労働大臣は、事業主から第三⼗条の二第⼀項及び第二項の規定の施⾏に関し必要な事項について報告を求める
ことができる。
2 (略)
(権限の委任)
第三十七条 この法律に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その⼀部を都道府県労働局⻑に委
任することができる。
2 (略)
(適用除外)
第三十八条の二 第六条から第九条まで、第六章(第二⼗七条を除く。)、第三⼗条の四から第三⼗条の八まで、第三⼗三条第⼀
項(第八章の規定の施⾏に関するものに限る。)及び第二項並びに第三⼗六条第⼀項の規定は国家公務員及び地方公務員につい
て、第三⼗条の二及び第三⼗条の三の規定は⼀般職の国家公務員(⾏政執⾏法⼈の労働関係に関する法律(昭和二⼗三年法律第
二百五⼗七号)第二条第二号の職員を除く。)、裁判所職員臨時措置法(昭和二⼗六年法律第二百九⼗九号)の適⽤を受ける裁判
所職員、国会職員法(昭和二⼗二年法律第八⼗五号)第⼀条に規定する国会職員及び自衛隊法(昭和二⼗九年法律第百六⼗五号)
第二条第五項に規定する隊員については、適⽤しない。
(罰則)
第四十一条 第三⼗六条第⼀項の規定による報告をせず、⼜は虚偽の報告をした者は、二⼗万円以下の過料に処する
(権限の委任)
第十五条 法第三十七条第一項の規定により、次に掲げる厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任する。ただし、厚生労働大臣が自らその権限を行うことを妨げない。
一 法第二十七条第一項及び第二項並びに第二十八条第一項及び第三項に規定する厚生労働大臣の権限
二 法第三十二条第一項から第三項までに規定する厚生労働大臣の権限
三 法第三十三条第一項に規定する厚生労働大臣の権限
四 法第三十四条第一項に規定する厚生労働大臣の権限
五 法第三十五条に規定する厚生労働大臣の権限
六 法第三十六条第一項に規定する厚生労働大臣の権限
2 前項(第二号に係る部分を除く。)の規定により都道府県労働局長に委任された権限は、法第二十七条第一項及び第二項、第二十八条第一項及び第三項、第三十三条第一項、第三十四条第一項並びに第三十五条に規定する事業主又は国若しくは地方公共団体の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に委任する。ただし、都道府県労働局長が自らその権限を行うことを妨げない。
労働施策総合推進法施行規則 (但し、下線は、付け加えた)
このことからも、労働基準監督署に対して、パワハラ防止法は、何の結果も与えていないことが分かります。
パワハラ相談で、労働基準監督署を活用するのは限定的
結果、パワハラ相談で労働基準監督署を活用するのは、以下のように、限定的と言えます。
労働基準監督署はパワハラ相談で・・・・
- 事業主に指導や勧告ができない
- 本当に「ただ、相談にのるだけ」
- あわよくば、労働局に相談することを薦めることもあるかも・・・
労働基準監督署は、パワハラを解決する力の源泉を持っていないので、相談しても解決の糸口を見つけにくいのです。
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まとめ
「パワハラ 訴える 労働基準監督署」の結論・・・
パワハラ防止法について、事業主に指導や勧告ができるのは、都道府県労働局
労働基準監督署は、パワハラに関して事業主に指導や勧告する権限を与えられていない
本当にパワハラの解決方法を探して、具体的なアドバイスを求めるのであれば、労働基準監督署を全面的に頼るより、他の方法を考えた方が良いでしょう。
私たちは、パワハラの無料相談に応じていますので、パワハラでお悩みの方は、一度、私たちにご相談いただければと思います。
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参考記事
パワハラ・セクハラへの対応の私たちの考え方は、こちらの記事も参照ください。