パワハラ上司を追い込むことは、許されるの?
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パワハラした相手に対して、「俺とおんなじ目に遭わせたい」というのは、人間本能が持つ復讐心と言えます。
しかし、パワハラをした人間に対して、復讐をすることは正しいことなのかと言われれば、それもまた違うのです。ハラスメントした相手に対して、ハラスメントで返す!ということは許されません。そのことについて、述べたいと思います。
目次
パワハラ上司を追い込むことはNG
しかし、数多くある相談の中には、「ハラスメントだ!」と言って、相手を追い込むハラスメントで困っている人もいます。そこには、大きな問題が潜んでいるのです。
相手を攻撃する正当性を得るために、「ハラスメント」という言葉を利用する! ということです。
例えば、私たちが受けたことのある相談に、こういうものがありました。
10何年務めていたパートさんが、パワハラの相談窓口に、私がパワハラをした!と言ってきた。そのパワハラといわれたことは、私も心当たりがあり、人事にも素直に話して、率直に良くないことだと思ったので、本人に謝罪した。
ところが、本人は、私の謝罪以降、事あるごとに「本当に心から反省してますか?」「ハラスメントを認めた人間の行動ではないですよね!」など、しきりに私を追い詰めるようになった。私はメンタル不調に陥った。
飲食チェーン店 店長
これは、非常に巧妙です。パワハラの相談窓口に相談し、会社を通じて相手に謝罪をさせたことを利用して、パワハラした上司を追い込んでいるのです。
この相談事例に対して、私は「それは、ハラスメントハラスメントの一種だよ。あなたを追い込もうとしているのですよ」とアドバイスしました。
このように、上司から受けた不快感を、会社のハラスメント防止制度を利用して、腹いせしているのです。
しかし、パワハラ上司を追い込むことは、実はハラスメント防止法は許していません。詳しくは、後ほど述べます。
パワハラへの仕返しで、追い込むのは、犯罪心理に似ている。
パワハラへの仕返しは、犯罪心理に似ています。要は・・・・
パワハラで俺が味わった不快感を、お前に倍にして返してやる!
ということです。犯罪には、必ず動機があります。パワハラへの仕返しは、パワハラされたことへの恨みが根底にあるのです。
ハラスメント防止法が課す「労働者の責務」
パワハラ セクハラ マタハラの各ハラスメント防止法は、会社が行うハラスメント防止措置に対して、労働者が協力するよう義務付けています。
第三十条の三 国は、労働者の就業環境を害する前条第⼀項に規定する言動を⾏つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「優越的言動問題」という。)に対する事業主その他国⺠⼀般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇⽤する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協⼒するように努めなければならない。
3 事業主(その者が法⼈である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
4 労働者は、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第⼀項の措置に協⼒するように努めなければならない
第十一条の二 国は、前条第⼀項に規定する不利益を与える⾏為⼜は労働者の就業環境を害する同項に規定する言動を⾏つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「性的言動問題」という。)に対する事業主その他国⺠⼀般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
男女雇用均等法(セクハラ防止法)
2 事業主は、性的言動問題に対するその雇⽤する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協⼒するように努めなければならない。
3 事業主(その者が法⼈である場合にあつては、その役員)は、自らも、性的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する
言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
4 労働者は、性的言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条
第⼀項の措置に協⼒するように努めなければならない
第十一条の四 国は、労働者の就業環境を害する前条第⼀項に規定する言動を⾏つてはならないことその他当該言動に起因する問題(以下この条において「妊娠・出産等関係言動問題」という。)に対する事業主その他国⺠⼀般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるように努めなければならない。
育児介護休業法(マタハラ防止法)
2 事業主は、妊娠・出産等関係言動問題に対するその雇⽤する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協⼒するように努めなければならない。
3 事業主(その者が法⼈である場合にあつては、その役員)は、自らも、妊娠・出産等関係言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。
4 労働者は、妊娠・出産等関係言動問題に対する関心と理解を深め、他の労働者に対する言動に必要な注意を払うとともに、事業主の講ずる前条第⼀項の措置に協⼒するように努めなければならない。
つまり、労働者はハラスメント防止措置に協力しなければならないのです。
ハラスメント防止法が企業に義務付ける「ハラスメント防止措置」
では、ハラスメント防止法は、企業にどういう義務を課しているのでしょうか?以下に分かりやすくまとめました。
もちろん、これらの中には、未然防止のための研修等もあるのですが、一番大事なことは、
(ハラスメントの相談があった時に)
会社は、ハラスメントの相談に対して、必ず再発防止を講じること❣
労働者は、会社が講じる再発防止策に対して、協力すること!
なのです。
意外かもしれませんが、(というか、厚労省のパンフレットや指針などを読み込んでもわかりづらいのですが) ハラスメント防止法は、平たく言うと、
- 相談窓口を設置する
- 相談窓口を機能させる
- ハラスメントの相談があったら、迅速に適正に対応する
- ハラスメントの事実が無かったとしても、改めて再発防止を講ずる
ということを義務付けています。
パワハラ上司を追い込むことを認めていない「ハラスメント防止法」
ハラスメントの防止法については、いろんなところで述べていますが、
- ハラスメントの相談に対して、再発防止を講じなければいけない
- 労働者には、ハラスメント防止措置に協力する義務がある。
の2点から言っても、ハラスメント防止法は、上司を追い込むことを認めていないのです。
まとめ
しかし、現実には、パワハラした上司を追い込もうとする人は多いのが現実です。
そして、「パワハラ」という言葉が蔓延した現代では、パワハラした人間が報いを受けるべき!と執着してしまうのも現実です。
そして、こういうパワハラしたと追い込もうとする人に対して、困っている方もあるかと思います。
参考記事+動画
パワハラセクハラ相談の私たちの考え方は、こちらの記事も参照ください。
また、私たちは、パワハラ防止研修も行っています。研修の動画も参考いただければと思います。
春日井商工会議所 青年部さまでのハラスメント研修です